ハナなれどハナならず 裏切者の目切り取って



いちごみるくを逆さまにした

いちごみるくの点滴。




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ある夜









‪ネットで知り合って電話を繰り返ししてた建築士のお兄さんと会うことになった。‬



‪シャワーから出たら仕事の電話をしてる話し声が聞こえたから、タオルを巻いて近づいた。

‪驚いた顔。‬
そのままソファーの横に座って耳を責めた。
彼は悶えながら電話。


笑ってしまって話にならなそうだったから、離れようとしたら引っ張られて仕返しされた。

いい子なので声出さないように気をつけた。


電話終わった後も「なんであんなことしたの」って壁に追い詰められた。



お仕事忙しいお兄さんは悪戯のし甲斐があって実に楽しい。










人間の装いのためだけに飾られた

人間の 人間に生かされた 蘭

ホテルに飾られた蘭は 飾りとして生き
宿泊客が去れば捨てられる
無情にも


そんな花を見ていると心が痛んで 涙さえ出そうになる


こんなに健気な命を飾りとして与えられるような人間なのだろうかと


(ホテルの部屋に飾られた蘭を見て)









「この花、水にさしたら生きるかな?」







「生きるんじゃない?」








(瀕死の蘭の途切れ途切れの呼吸が響く)















そんな日の電車の行き帰りに見た景色と
思ったこと。






山奥の向日葵畑
こんなところにわざわざ来る人もいないだろうに


誰のための向日葵畑なのだ。


(誰のためでもないだろう馬鹿めが)




夏の太陽射撃を受けて逞しく立つ向日葵たち

次の日女2人が四角い機械手に持ち腕を伸ばしていた





向日葵なんて見ていないのに。





ダムは射撃を受けキラキラと白く輝いていた

誰もいない



何も音のしない沈黙痛むダム




向日葵畑と何がちがうのだろう

向日葵畑だって音はしないのだろう







聞くものも見るものもいないのだ

















裏切者

深夜の秘密基地的ジャム


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夜 暗闇の時間








ティーコージーを世界にかぶせた



まっくらな世界のどこかで





わたしは果実を煮る












まっくらくらの中 田舎町の外れの
一軒家。









シンとした空気の中



物事がおさまるところへおさまって





全ての息をするものたちが



自分のために息する












果実に砂糖をまぶし



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果実を熱する









甘い湯気が立ち


甘い香りが窓から外へ。







甘い香りをかいだ鳥たちは




あまい夢をみる







あまい香りをかいだ鈴虫は



あまい音を奏でる








ブルーベリーと苺とラズベリー




ぐつ じゅく 音たて


溶けて まざって




赤と紫の深い色。




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レモン汁をかけて


かきまぜる








ドロっとしたあまい宝石







絵本や物語に出てきそうな このジャムを


世界がありさんの声で話す時に



こっそり ひっそり 作る



わたしの秘密基地的行為。











私の秘密基地にこっそり来てね




ドアは 2 3 1 のリズムでノックして。







そしたら一緒にできたてのジャムを
味見しよう
















の秘密基地的ジャム

売れっ子スターとベテラン俳優

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先日ピクルスを漬けた。



人生初めてのピクルス作り。


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そのピクルスを使ってベーコンエッグトーストを作った。





材料

トースト
手作りピクルス
マヨネーズ
ベーコン
目玉焼き





ピクルスはパンと合わせるとこんなにもそそる味になるのか、と驚愕した。



本当はチーズとハンバーグと合わせてチーズバーガー的な感じで食べたかったのだが、チーズがないために断念した。




肉の脂と卵の風味にほんのり酸味のあるピクルスが加わる。





ピクルス単体だと存在感しかない新人売れっ子スターなのに、パンマヨベーコンエッグで挟むと、芸歴50年のベテラン俳優並みに名脇役に変貌する。



口に含むと「旨味」を構成する一要因となる。






まるで別人だ。


誰もがこの差に「え、だれ?」となるだろう。







あんなに尖って目立つことが成功だと思っていたピクルスが、挟まれた瞬間から50年の歳月を経てベテラン名脇役俳優に。



例えるならば、そう。
でんでんさんだ。






SexyZoneの中島健人さんがでんでんさんになるような感覚だ。この2人が同一人物という事実にみな驚くことだろう。









何が言いたいかというと、ピクルスはすごい。






明日はチーズを買ってこよう。






_

悪魔がいるんだって 神がいるんだって





悪魔は対価を払えば願いを叶えてくれるんだって






神様は対価を払っても願いを叶えてくれないって








私があの時神でも悪魔でも天使でもなんでもいいから殺してくれと、できるだけはやく殺してくれと、命をあげるから私の全てをあげるから殺してほしいと願ったのは








なんだったんだろう






あれだけ切に願ったんだから
神でも悪魔でも聞き入れてくれるんじゃないかと思ってた





むしろ生きていることが
死を望んだ私の罰なのか



生きて、生き地獄を味わえということなのか




そう思うようになった





じゃなきゃもう死んでる






それとも惨めにいじめられて
親からも酷く扱われた私を惨めに思い同情した神か悪魔が命を拾うことをやめたのだろうか。




いつでも命を頂戴できるから生かしているのだろうか





たまたま死ななかった蟻のように天上からも見捨てられたのだろうか
見向きもされなかったのか







どちらにしろまた歳を重ねてしまっている







他人に言えば「そんな風に思う必要はない」と言われるかもしれないのだが




他人が想像する以上にあの時私は死を望んだ。祈った。切に。




だから、今更生きることを切に望むのはおこがましいのだと思っている。
今更、私が幸せを生きることを願うのはあまりにも欲深い。






欲深いと自制しながらも生きているとふつふつと大小、薄い濃い欲がわいてきて。




知らないうちになにかを願っている。




生死に関しては私が願うことはないのだ。


それに値するものではないのだ。




私は実際なにも残していない。
なにも生み出してはいない。




私が生み出す毎日のように
私が消えたとて誰かの日常が変わるわけではない。少なからず大勢の日常が変わらない。




死は日常にどんどん溶け込み
いつか姿も霞んで風景に混ざってしまう





絵の具が筆によってどんどんその色を溶かして馴染んでいくようにいつかその境も、元あったものも見えなくなっていく






誰の死も
誰の死も



誰の死も







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2020/07/18

君がいって1ヶ月

君が逝って1ヶ月経った




ふと君の姿を探してしまう




居るはずだった 場所を
どこにいても。




食べ物を食べようとして
君との思い出が蘇って泣いてしまう



口に含むとより思い出が濃く体に染みて
泣いてしまう






ふつうに過ごす中で 君の姿を


何度も 何度も 心で見つけてる





こんな時は君はここにいて
こんな時は君はこんなことをするんだって

わかるよ。






たくさん泣いたよ

たくさん泣いたとき

そばにいてくれたのは君だった

こんな時 そばに居てくれたのは
君だけだったから。





きっと今日も目に見えないけど

きっとそばにいるんだよね。

いつもみたいに。









たくさん楽しかったね。



君を見送って

君の姿が見えなくなって。

ぼくは大切な存在をつくるのが怖くなりました。




こんなに寂しいなんて


こんなにまた姿を見たいだなんて


また目を合わせたいなんて。



また楽しい時を過ごしたいと思ってしまうから。


1ヶ月経っても 涙流れてしまうから


君のいない日々を生きて行かなくちゃ
ならないから



君にはぼくの姿がみえて

ぼくには見えないなんて

理不尽だと思わないか?





まだこの悲しみを持て余しているよ

どう付き合っていけばいいのか
とまどっているよ。




あいたい

愛猫の死

愛猫のにゃんちぃが亡くなった。
逝ってしまった。








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1、2ヶ月前に病院に行った。もう年齢的に長くはないとのことで好きな物を食べさせてあげるよう言われる。



4月3週目くらいから大人しくなり

22日に受診しにいく。母と喧嘩する。タクシーで病院に行く。高齢による肝不全腎不全と診断される。数値がとても悪い。あと1週間かどうか、と言われる。涙溢れる。苦しまないよう先生が今後の予定を考えて下さった。
帰り道も涙が出てくる。タクシーの運転手さんも泣いてた。
家についてからも涙が止まらない。にゃんちの前では元気でいたいが無理な時は無理だった。頭の良い子だから気付いていたと思う。自分の置かれた状況に。だが、猫は人間よりも強い。強い精神状態をもつ。
猫のために家の中を整えた。トイレ掃除もした。泣きながら。途中堪えきれず自室で泣いた。

数日、3日ほどは自力で動き回る。動き回るが踏ん張る力がどんどんなくなっていく。だから目が離せなかった。3日ほどまとまった時間眠ることができなかった。








23日


にゃんちのために床にカーペットを敷いた。にゃんちはやろう、やりたい、という気持ちが強くてジャンプしようとしたり階段を降りようとする。けれど体が追いつかずに転んだりする。

全部の行動を止められる、止めたい訳ではなく、目が離せなかった。まるで2歳くらいの赤ちゃんを相手してるみたいで、少し楽しかった。面倒を見られてるのが。やっぱり我の強い、意志の強い、独立心の強い子だからなんでもいつも通りにしようとして、困らせてくれた。


以降 呟き

泣きすぎて気持ち悪いのか紅茶飲みすぎて気持ち悪いのかストレスで気持ち悪いのかわからない

神様に感謝しなきゃいけないんだとおもう にゃんちを生かしてくれて もしかしたら他のきょうだいみたいに短命だったのかもしれない なのにもっと生かせてくれないなんてなんて思っちゃって強欲でこれじゃ失礼

にゃんちの前では元気でいたいけどどうしても無理

カフェとかどっかにいきたくなる
誰も私を知る人がいないところ
全部放り出して
辛さしかないよ
物事の全て、つらい部分しか感じられない
私はダメかもしれない
ダメかもしれない
にゃんちが

どうやって生きてけばいい

なんかもうぜんぶいいや

どうすれば
どうするのが正解
えもうよくわかんない

にゃんちのいないせかいに生きてるのが意味わかんない


世の中の全てに関心をもてない
ぜんぶ自分に関係ないどこかちがう世界の出来事みたいな
ただの文字
なんの意味もないわたしには関係ない

胃がムカムカして気持ち悪い
お腹空いてるのかな
それもわからん
朝ぬいぐるみを気持ち悪いと思った
見える世界が変わったみたい
にゃんちは生きてる
でも鈍い

今朝はおしっこ失敗しなかった
おとといくらいからずっと失敗してたのに 4回くらい?

お歌を聞かせてあげた
ばばにもあった
写真撮った




祖母の家の庭で日向ぼっこした。




24日


以降 呟き

いい子だからこたつの中で伸びて寝てる

油淋鶏食べてたら目が爛々として近寄ってきたから鶏肉少しあげた。たべた。あとで吐くかもしれないけど、またあげた。またあげた。またあげた。少しずつ。おやつのカニカマも食べるかもしれんと思い、出したら欲しがったからあげた。あんまりたべなかった。少し元気になった気がするけど

回復しない、良くなることはない、にゃんちは死ぬ、それがいまいちわからないしわかるしこわい

風呂に入ってたら大きい声で2、3回呼ばれた。笑
声が出るのは嬉しい。
お湯を飲む。居座るから風邪引きそうになる。

どっか行きよったとおもっとってドア開けたらいた

わたしの部屋でとても大きい声で鳴いていた

たぶんわたしを呼んでた

2回目の病院
明日また行く
元気な大きな声で鳴く

親指先くらいのうんち3個くらい入ってるって

今日も点滴と吐き気どめの注射。
体重は減り気味

こたつの布団の間で丸くなってる
そうだ、わたしも寝よう、と思う



祖母の庭で椅子を並べて日向ぼっこしていたら、猫が私の膝に乗って来た。





25日


病院の後 祖母の家で日向ぼっこ。





猫、よたよたしながらも自力で庭を歩き回る。少しずつ、休憩しながら少し歩いたところにある本家の庭にたどり着く。



本家の庭には疎水のような小川が流れている。菖蒲らしきアヤメ科の花が咲く。水の流れる音が心地よかった。
こんなに心地いい場所だったんだな…と思った。
庭を掃除中の本家のおじさんに見つかり、挨拶。「すみません、猫がどうしても来たかったみたいで…」当の本猫は悠々と庭で香箱る。


「邪魔ですよね」というと「好きなだけ居させてあげて」と。優しかった。
私の記憶ではこのおじさんと話したことはない(たぶん絶対挨拶くらいしてるけど)。おじさんのご両親との面識の方が強い。頻繁に遊びにいってたから。

猫を抱いて帰るとき「もういいの?」と。


「よく昔おばあさんと遊びに来たね(猫)」「もう何歳くらいになるの?」16歳だと伝えたら驚いてた。

「あと1週間ほどだと言われてしまって」
というと言葉なく驚いていた

「1週間くらいなのに歩き回れるんだね」と。

昨日はこんなに歩き回ることもなく、今日になって自力で動き回った。

どうしても、来たかったのであろ、と思った。

水の流れる音も、青い菖蒲の花も
おばさんらしい綺麗にされた庭も、おばさんは施設に入り居ないが、その日常的に身の回りを整理整頓する姿は息子さんに受け継がれているようだった。

よく子どもの頃に遊びに来たな、毎日のように、じじやばばに連れられて。
本家のおばさんおじさんが大好きだった。
猫も一緒について来ていた。

懐かしいな。
そんなことを思い出してた。


猫がわざわざ来たくなる理由もわかった気がした。すごく心地のいい場所だった。
それを忘れていた。



家に帰るとほとんど体を動かさなくなった。
自力で起き上がるのが困難になった。







26日



呟き

ほとんど起き上がらない。
昨日の夜も歩こうとするけど足で踏ん張れないみたいだった
もう歩けないかな、たぶん、
昨日の夜から口から血が出るようになった朝になったら落ち着いた
外が好きだから窓辺に寝かせてやる

鏡に映る自分が誰だかわからなかった映像を見てるみたいな
見える景色は変わった
しばらくは普通の会話ができないと思う




夕方、陽が傾くころ、抱いて外を散歩した。


祖母の家に行ったが、友人が来ているらしく相手をするのは面倒だったため、引き返す。
グミの木に小さな青いグミがなり始めた。
赤くなったグミを一緒に見れないのが悲しかった。

にゃんちは外が好きだ。
風を感じると気持ちよさそうにする。

この日は風が強すぎたけど。

いつもは散歩では行かない道を行った。
にゃんちは1人で出歩いてる時よく歩いてる道だと思う。
田んぼの多い道。
ちょうど田植えの終わった時期で一面に水が張られ、夕日が水面に反射して美しかった。美しい景色をにゃんちは見ていた。
おたまじゃくしがたくさんいて、それを見て欲しくておたまじゃくしの集まっているところに近づいた。おたまじゃくしが動く。にゃんちが目で追う。

こんな景色のみれるところで一緒に過ごせて幸せだったね。

庭の、低い草の生い茂る上に寝かせてやった。気持ちよさそうにしていた。

草の香りが、自然が大好きだからね。



夜 動かないながらも、向きを変えようと頭をあげて動こうとする。その度に「どっちいきたいの?こっち??」と変えてやる。
動こうとする姿と、動かないながらに行きたい方に意思表示して来るところが可愛くて、にゃんちらしくて笑ってしまう。

にゃんちらしかった。


夜、部屋に連れて行こうと抱き上げるもぐったりとしていた。もしかしたらこの時もう亡くなっていたのかもしれない。意識がなかっただけなのか、わからない。




27日

呟き

1:39
意識がない
心臓が動いてるのかわからない
もしかしたら死んでるかもしれない
脈が弱いだけで生きてるのかもしれない
わからない

1:41
たぶんもうだめだ




頭の遠くでにゃんちは死んでしまったということがわかっていた気もする、冷たくなりつつある手や足を触って泣いた。

泣いた。

でも、まだ体はあたたかくて
朝になってからじゃないとわからない、と思った

一緒に寝たかったけど、寝てる間に動いて迷惑かけたくなかったから、同じ部屋で寝るだけにした。

泣いてなかなか眠れなかった

朝5時くらいに目がさめる


猫を確認するのが怖かった

死んでいるのだろう、とわかっていたが

死を見るのがすこしこわくなった

私が着ていたモコモコのガウンを布団がわりにしていた。

捲る。触る。冷たかった

毛並みは柔らかくてすごく柔らかかった

でも冷たくて、かたくて、
これが死後硬直か、と思った

死を目の当たりにした感じだった
死んだんだよって突きつけられているような

すこし泣いた
それよりも
にゃんちを心地よくさせてあげたくて
またモコモコを被せて
箱の用意を始めた

最近お気に入りだったAmazonの段ボール。

いつも敷いていたタオルを畳み直して入れて、おしっこやうんちが出てもいいようにペットシートをひいた。



にゃんちの遺体はすごく綺麗で、もっと尿や便、唾液が出ると思ってたけど尿がすこし染みて、血がすこし口から出るくらいで思ったよりも綺麗で、これもまたにゃんちらしいなと思った。

あまり面倒をかけるのを好まなかったから。
死に様まで美しい。さすがだな、って



数分か数時間は呆然としてた、涙も出たり出なかったりで 紅茶とチョコをたべた。
今まで食べたチョコとは全く違くてこれほど心の通わない食事ってあるんだなって

いつも心があって食べ物を食べてたんだな、って、食事をする上で心の存在は大事なんだって思った

すごく無機質に味を口で感じるだけだった
なんとも思わなかった
ロボットみたいだった
ただ甘いものを口に入れて体に入れる
それだけ


世界が遠ざかるみたいな
心の距離がどんどん遠くなって
音も遠くなっていった

みんなこんな風になるんだな、って
みんなこんな風になるのかなって


数日食べられなかったぶん、にゃんちの好きなご飯をたくさん盛っておいた。

盛る時も涙は止まらなかった。


カニカマのおやつが狂うくらいに好きだった。

体の周りに花や草をおいてあげたくて祖母の家の庭で野花や草を摘んだ。

ヒメオドリコソウ
胡瓜草
どくだみ

カキドオシ
ミヤコワスレ
柚子
たんぽぽ
オオイヌノフグリ
シロツメクサ
小手鞠


家の庭のラベンダー 木香薔薇


箱を開けると 草や花の香りがぶわっとかおった。

にゃんちと一緒に何度も嗅いだ匂い。



遺体は明日火葬する。


私自身はこれが憔悴、というものか、というくらいに体がだるく頭も回らず食欲もなく起き上がることも辛い 気持ちが悪い。

にゃんちもきっと辛かったのだろうな

でもたくさん楽しいことをして
たくさん一緒に過ごすことができた
たくさん笑わせてもらったし
本当に楽しかった

にゃんちは間違いなく世界一で最高のたくましいかっこいい気高く美しく強い猫だ

本当に気高い、逞しいという言葉がぴったりの猫。

戦いと知恵の女神アテナのような命だった


野良犬を追い払うこんなに強い猫いるだろうか。自分の体の数倍ある犬を走って追い回した。本当に強い子だったのだ。


この子と過ごせた16年間がすごく大事でありがたくて。感謝しかない。

ありがたい。

大好きだ。

大好きだと何回も思った。
大好きだよ、とよく言った。
にゃんちのことが大好きだ。


姉のような
親のような
妹のような
祖母のような
先生のような
親友のような
そんな存在だった。
私の一部だ。

家族の中で1番仲良く、大好きだった。

世界で一番信頼していて大好きだった。

いなくなったのではない
見えなくなったのだ
安心できる場所へ行ったのだ
もう誰も何もにゃんちを傷つけることはできない
あの子は安心できる苦痛のないところへ行った、安心だ。




もう痛みを感じていないのだから、それは本当によかった、と思う。



もともとにゃんちは私とはあまり寝てくれなかった。
布団の上の足元には寝るけど、懐に入ることはあまりしなかった。
それが、去年実家に帰ってきてからは頻繁に懐に入ってくるようになった。
「入れろ」と引っ掻いてくるほどに。頭皮を引っ掻いたり顔を引っ掻くもんだから、たまったもんじゃなかった。でも嬉しかった。

たくさん一緒に寝た。
起きたら尻が真横にあったときもあった、
さすがに尻尾でガードした。


嬉しかった。

嬉しかった。
大好きだった。


生前、よく、死ぬときはどこかで隠れて死ぬんじゃないよ、と伝えていた。
そしたらずっとずっと探して心配して狂ってしまうからね。絶対私の目の前で死んでくれ、と。

その約束を守ってくれた。

最後まで看取ることができて
そばにいることができて
よかった。

私はあの子とそばにいれて
幸せだった

あんなに賢くてかっこよくて生意気で気高い猫とそばにいれて 世界一幸せだったと思う


感謝しかない。


ここにご報告とする。

フラニーとレーン



サリンジャー村上春樹訳の『フラニーとズーイ』は「ズーイ」の兄の手紙を読んでいる。



「フラニー」が予想以上によかった。



好意を持っている相手で、確かに相手を少なからず好いている。


しかし、その相手との意見の相違がどうしても溝になる。



気持ちのいい会話じゃない。


このフラニーとレーンの2人の会話を見ていると、きっと2人は以前からこの違和感を感じながらも「自分は相手のことが好きだ」という思いがあったんだろうと感じる。





経験上…経験上。




好きな気持ちに嘘はないが

価値観の違いが明白にある。




対立する、もしくは反対の意見を持っているのにフラニーが妥協してレーンに話を合わせる(もしくは発言の後に謝る)ことが以前からあったのではないだろうか。





レーンのような男は存在していて、魅力的に写ると思う。

最初は。

彼の話方を見ているとこの男についていける女は、話をずっとしていられる女はいないんじゃないだろうか、と思ってしまう。






好きになってしまったら、好きでいたいという気持ちも、離れ難くなる気持ちも湧いてくる。好きという感情が少なからずあれば、別れ難い。



しかし、この違和感を抱き続け、付き合っていられるか。残念ながらハッピーエンドになる確率は低い。






この、好意を抱きながらも拭えない違和感や気持ちの良くない会話がすごく現実的で共感できて他の本であまり読むことがなく、とても好きだ。




「ズーイ」のこの先も楽しみだ。























君の吐いた木蓮が目隠しして

君の目は虚像を捕らえる

深い古代湖を写す球体

呼吸も時間も空気も停止して

君の睫毛だけが眼前の絵画震わす




窓の向こうは別世界で

2人だけの箱に入って湿度が重い

微熱と麻痺した思考の断片

君を見つめるだけに存在する

ぼくの眼球





ぼくの眼球を君が食べてしまったから

ぼくは君を指先でしか感じられない



君はそんなぼくを見下ろし

嗤う











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