快感入水自殺




求めているものを与えられないのは苦痛だ



求めているものが目の前にあるのに


与えてもらえないのは 拷問だ





欲しい



いますぐ







「おねだりできる?」



その言葉に抗う気力なんて毛頭なく


「ください」

「お願いします」


と言葉が思考より先に先走る




「よくできました」












「俺がそれであげると思う?」





嫌な兆し






すでに欲の渦に飲み込まれ窒息寸前の私
お構いなしに視線をそらす君






放置




そんなもの絶対に嫌だと思っていたのに



放置に気付いた瞬間ドッと腹の底から熱い液体が体を駆け巡った





思考の麻痺




欲しいものを与えられないのは辛い。



体が 膣が 疼いて疼いてしかたない



目の前に欲しいものがあるのに









「おねがいします…お願いっ…」





私はいつの間にか涙をこぼしていた






私の腰は私の意思なんか振り切って


腰単体が生き物のように淫らに動き

彼を求めていた








私をいじめる彼の言葉に体が跳ねる






この拷問が身に染み付き








2度目から なんの疑いもなんの躊躇いもなく


快感を得るために


自ら快感の液体へ入水していく







快感入水自殺


冬本夏草


本に根をはる菌

格段汚れていなくても本を手で触れば垢がつく。脂やなんか。

本を触る。

垢がつく。

垢から菌が繁殖する。

根をはる。

本を開いた瞬間から、その人が本と向き合った時の全てが本に記憶される。

本は全てを記憶している。


触れた場所、時間の空気、温度、湿度…

溢された紅茶、爪の痕、インクの染み、日を受けた日焼け…


本には本の本生があって

人に触れられた瞬間に、きっと本は目覚める


人の手に運ばれて持ち主と出会い

持ち主との記憶を作り

また次の持ち主の元へ渡る。


人の人生と同じで本も様々な道を歩む



人間が一生のうち読める本はたかが知れていて、世界中の本のほんのほんのちょびっとしか読むことができない。


そんな中で目があって手に取った本はやはり特別な存在だ


本との出会いはすべて運命だ



出会うべくして出会ったんだと思う本もある


まだ出会っていないが
わたしに触れられるのを待っている
本たちがきっといる

迎えに行くから、まっててね


そう心の中で呟く




古本はおもしろい。


色んな古本がいる。

本生経験深い古本もいれば
比較的若い古本もいる

大事に大切にされた本はよくわかる

何度も読み返され触られ汚れのある本も 愛された形跡

そんな古本達が愛らしくて仕方ない。



本のあちらこちらに散らばった本生を感じ取る。色んな人の手に渡って、もしくは誰か1人の手によって大事にされてきた本が今、このタイミングで私と出会う。


本との仲をじっくりと深め
彼らの一部になっていきたい

彼らの良き友として生きられたら

こんなに嬉しいことはない


私のもとに来てくれた本達を
愛でずにはいられない。




いつかは私のもとを離れていくが
彼らは私を記憶し
次の友へと受け継がれる



私がこの世を去った後も
私の友は生き続ける。

君ノイナイ世界デ僕ハ何者

もし私が死んだら君は悲しむだろうか

君の方が過酷な環境に身を置いていて


もし君が死んだら

名前のない関係の私に
知らせは来るのだろうか

きっと来ないだろう、な


来るはずのない返事をずっと待ち続けたりするのだろうか












‪何にでも名前をつけたがって‬
何にでも意味を
何にでも縛りをつけたがる人は
苦手だ












‪他人に興味のない君の心を‬
‪乱してみたいと思う ‬

‪たとえ嫌われても‬



‪でもいつの間にか心乱されてるのは‬
‪ぼくのほうで‬












なんで神はこのような世界を

いや、人間がこんな世界を作ったんだ
欲にまみれた欲に負けた人間が


残忍な悪が蔓延る世界


才能を持った作家達も偉人達もみんな
いつの世も
こんな残忍な悪を知って来たのだろうか



女が見下され、身分の低い人間が奴隷のように使われるできごとを目にして耳にして



そんなできごとを知った心優しい人々は


人知れず悪に心を痛め
病んでしまったのかもしれないね



















そこの公衆電話に行くと呼び鈴が鳴る

受話器の向こうから声がする

僕は同じ曜日の同じ時間

必ずそこへいく
君の声が聞きたいから


声の主が生きてるか死んでいるか
なんてぼくにはたいした問題じゃない


ただ、なんとなく
君の声を聞いて
ぼくが話しかけて

そんな時間がぼくにとっては
すこしほっとできるから



きっと来週も再来週も、その次の週も

屈辱窒息死


悪いことなんてなにも知らないような

堅実に日常を送る

純粋な為だけに動かされる 指が



今 私を乱れさせるためだけに動かされ




汚れ 私の熟れた欲で 光を吸い込んでいる







君の指を 汚す 穢す ケガス







君のこんなに乱れた姿 欲 汗ばむ姿を


みんなは知らない





普段君が楽しそうに話す友達だって

こんな姿みれないんだ




今は 私だけの 指

私のために動かされる







君のやけに落ち着いた目に見下ろされ嗤われ




体の奥がきゅっと狭まる





その冷静で冷めた

内側に熱を持つ静かな瞳に


支配されている快感と

透明にされる羞恥心

されるがままの屈辱に窒息死









熱を持った吐息が逃げ









私好み 少し 乱暴な指遣い


君の思うがまま 乱れる体


限界を知らない 声漏れる








君の純粋で清らかな指を汚した

罪を私は払うことになる







痛みは快感だ





君 消毒液 心 首 ポタリ


果実を齧った跡


それは君の体の放物線

僕の薄汚れた指で湾曲した君をなぞる




「綺麗だね」




その言葉がビロードのような波となって

私の脳内を無口なドーパミンが駆け巡る





泣きたいような
蜜の甘酸っぱさが切なく



唇を強く結ばせた






「綺麗だよ」





君はまたさらさら柔らかい膜を

重ねていく






その言葉に私は目を細めた


私の脳にはなにも映らない




ただ、君が私にもたらした
泣きそうなとろとろのビロードに包まれて



その時 深く 深く




地下層へ身を落としていった






今だけでいい





この柔らかな とろとろの 蜜に覆われた

世界 で 身 を滅ぼしていたい





この一瞬 が 私の 居場所






























今も世界は平常に回っていて



僕1人が正常な世界から抜け出したって


初めから異質な僕が逸脱しただけで


世界はなにも変わらない




事実も正義もいつもどおりだ





椿の頭が落ちるように


人間の心が死んだって




誰も気づきやしない







結局ぼくは深海からは抜け出せないのだな

仄暗ワイン 裸体の交わり

男とホテルに泊まる





だいたいその人は先に寝る



仕事は多忙 朝の早い仕事だ




寝息を立てるその人


風邪引かぬように捲れた布団を戻す







薄暗くシンとした部屋







彼が眠った今

私1人だけの空間





事後の余韻と体のだるさ
節々の痛みを感じながら







暗がりに光るテレビの画面を見つめる







この時の私は 少し死んでて






思い切り 生を味わっている
















いつも何かしらの映画を流す



見ているようで見ていない




酒を飲む



最近はワインが多い



白ワインを1人で飲む。







隣に誰かの温もりがあるのは
いいことだ。








たいして用もないのに

ホテルの綺麗な洗面所の鏡の前に立つ






首から胸元にかけて

赤い噛み跡がついている




たまに自分でも驚く


怪我かと思う



数時間前に自分で懇願してつけてもらったものだと思い出した






体に刻まれた赤いミミズばりに



満足感が体を蝕む









この、事後 男が先に寝て


1人で過ごす時間が


なんともいえない


夢見心地と現実の狭間という意識の中が




とても好きだ








明日には離れなければならない寂しさ





膣に感じる性行為の痕



満たされた体と




温もりを感じて満ち足りる すかすかの心






夜を生きている



人生を生きている



性を 女を 生きている


と、濃く思う





穴としての自分



女として抱かれた自分




非現実的な 性 行為












私たちに恋人らしい恋も愛も

存在しないけれど


会っている時

行為をしている時




たしかに そこに 愛みたいなモノがあって



必死に求め合い 補い合い




呼吸している












君を取り巻く忙しない日常も

苦しめる出来事も 全てを取っ払って


君を癒してあげられたら






そんな思いで

数少ない 私の理解者

愛 体 求め合える人と




時間を重ねる






一時の満ち足り

栄養補給







そして


熟し 枯れ始めた 微睡みの中


半分死んで眠る



可愛い毛には旅をさせろ



突如現れるもの


突如現れるものはいろんなものがいる



小さい虫。なんかよくわからん枯れた草。
使った後のティッシュ




日常的に1番多い確率で突如をしてくるのは髪の毛だろう。




大概自分の髪の毛だ。




私は1番最近付き合っていた彼が短いヘアースタイル好きだったため、2年間ほど髪を短くしていた。


1年前に別れてからは髪を伸ばしている。



私の中での小さな“反抗”なのかもしれない。
「彼が好きというから」「彼が似合うというから」という名目で彼に合わせていた自分への苛立ちも含んでいるだろう。

その時はたしかに嬉しさも感じていたけれど。




そんなことはどうでもよくて、今は髪を伸ばしていて丁度乳首の下くらいの長さだ(お前の乳首の位置しらねぇよ)。




家族の中でもこんなに髪が長いのは私くらいで、家の中で発見される長髪はぜんぶ私のものになる。





よく髪の毛が抜ける。



髪の毛が抜けることなんて今まで生きてきた24年間季節問わず経験してきたことで、普通の中の普通のできごとである。



なのに、髪が抜けるとその髪を見つめて心の中で「うーん」とも「んー」とも言えない呻きが漏れる。





どうしてこんなにも“抜け毛”に心囚われるのだろう。





病院の待合室で服についた抜け毛を見つけ、摘まみ上げる。

なんとなく、あからさまに床に落とすのに抵抗感を持った。


出来るだけ腕を小さく動かし髪の毛を捨てた。誰も見ていないのに。






その髪は私が待合室を去った後もそこに残る。



私の一部が、一部であったものが、ある場所に残る、置き去りにされるというのは不思議な感覚に陥る。


こんなこと気にしているのは私くらいかもしれないが。




その親元から離れた髪の毛1人はどうなるのだろう。旅を始めるのだろうか。

もしかしたら私なんかより多くの景色を見るかもしれない。待合室でその後起こったみんなが驚くような出来事に遭遇しているかもしれない。


そう思うと抜け毛1本に対してわずかに嫉妬心が湧いてくるようだった



たんぽぽの綿毛のように、私の頭皮から旅立った子どもの毛たち。




お前たちは今どこで何をしているんだい。















1つの曲を聴いて誰かを探そうとしてた














君の濁らす息とともに

君の紡ぐ音とともに

君の言葉にぼくはなりたい。
















夜は人口が減るから息がしやすい。

すべてがはじまりに戻る

虫の声も風の囁きも静かに流れる

遠くの道路を走る車の音がする

君のことを思い浮かべると

この世にはぼくと君しかいないみたいで


夜を迎えるたび

儚くて焦れったくて心地よくて












君の声にぼくの奥


鼓膜の奥が甘く疼くようで