深夜の秘密基地的ジャム
夜 暗闇の時間
まっくらな世界のどこかで
わたしは果実を煮る
まっくらくらの中 田舎町の外れの
一軒家。
シンとした空気の中
物事がおさまるところへおさまって
全ての息をするものたちが
自分のために息する
果実に砂糖をまぶし
果実を熱する
甘い湯気が立ち
甘い香りが窓から外へ。
甘い香りをかいだ鳥たちは
あまい夢をみる
あまい香りをかいだ鈴虫は
あまい音を奏でる
ブルーベリーと苺とラズベリー
ぐつ じゅく 音たて
溶けて まざって
赤と紫の深い色。
レモン汁をかけて
かきまぜる
ドロっとしたあまい宝石
絵本や物語に出てきそうな このジャムを
世界がありさんの声で話す時に
こっそり ひっそり 作る
わたしの秘密基地的行為。
私の秘密基地にこっそり来てね
ドアは 2 3 1 のリズムでノックして。
そしたら一緒にできたてのジャムを
味見しよう
深
夜
の秘密基地的ジャム