街灯 水飛沫 ビルの灯り 38 トレパレーション
水
柔い唇が首に這う
肌は湿りを帯びて人の芳香を漂わす
ぬらぬらと光る濡れた髪と
吐息は融合す
淡々と 生きることを食べて死ぬ
木
蜘蛛の巣に落ちて 糸が手首に絡み付く
身を委ねる 暗闇に射す光が綺麗だ
君の牙が肌を貫くけど ぼくは痛くない
それは本当の痛みじゃないと知っているから
ぼくは痛くない 痛くない
甘い深海で息をする
金
浮浪者の音
滴り落ちた赤と黄の絵の具の波紋
高級娼婦を従える男あれば
酔いどれ老年男の足取りは重く路地にこだます
世の不可解な様よ 富あれど愛は彷徨う
地に這う玉虫
外
街 水飛沫 ビルの灯り
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8
トレパレーション
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