不完全アップルパイとストーキング猫
貰ったアップルパイを温めて食べる。
コンビニで売ってる市販のアップルパイ。
特別美味いわけではない。
不味いわけでもない。
コップに牛乳をそそぐ。
層になっているアップルパイを分解して食べる。
昔から、色んな味の物を1度に口に含むと混乱し、味を楽しめない。
層を順番に食べていく。
林檎はよくコンポートされていて、一般人では出せない味だ。シナモンがよく効いている。どうしたらこのコクが出るのだろう。
よくわからない最下層を食べる。
よくわからない。
熱々の林檎に舌を軽く火傷した。
牛乳を流し込む。
たいして美味いと感じなかった(りんごのコンポート以外)アップルパイでも、最後の一口は惜しいと思う。
平らげた皿を猫が嗅ぐ。
皿のストーキングを始めた猫をかわす。
弱く痛む舌に、まあるい脂的な優しい牛乳を乗せる
特段美味しいと感じない、不味いわけでもない。
でも最後は惜しくなる、その完璧ではない味にどこか安心する。
不完全なアップルパイ